トヨタカローラ埼玉MC川口

川口/埼玉

トヨタカローラ埼玉は、埼玉県で32店舗を展開する、この地域の大手自動車ディーラーです。その最も新しいショールームが「トヨタカローラ埼玉MC川口」。すみずみまで洗練された店内に、たくさんのUSMハラーが活用されています。

トヨタカローラ埼玉MC川口は、2022年2月にオープンしたばかりの店舗です。1962年創業のトヨタカローラ埼玉(以下TCS)は県内に多くの店舗がありますが、中でもこのMC川口はさまざまな新しい試みを取り入れました。ガラス張りの建物は、広々とした2階に3台の自動車を展示。また建物にはマクドナルドが併設され、エントランスは別ですが、2階部分でそれぞれ行き来できるようになっています。


「マックとトヨタ」というのは少々意外な組み合わせですが、この地域では自動車でマクドナルドに立ち寄るケースが多く、ドライブスルーの利用も頻繁にあります。もともとこの敷地には、約30年間にわたってマクドナルドのお店があり、地域の人々に広く親しまれていたそうです。2つのブランドがこの地で手を組んだことで、お互いにファンが増えていくことでしょう。

店舗のエントランスは、よく見かける自動車ディーラーのイメージを鮮やかに裏切るものです。グレーを基調にしながらウッドを取り入れたスペースは、ミニマルで上質感たっぷり。受付カウンターのUSMハラーもパネルはミッドグレーです。

トヨタカローラ埼玉MC川口は、建築からインテリア・グラフィックまですべてをUSM正規販売代理店である富山のデザインスタジオ「51%(五割一分)」が手がけました。きっかけになったのは5年程前、TCSのブランド戦略責任者を務める茂木祐喜さんが、51%(五割一分)がデザインした「ネッツトヨタ富山」の店舗を視察したことでした。


「その空間がとても格好よく、使われていたUSMの家具も印象的でした。USMハラーにクルマの模型が置いてあり、仕事用のデスクもUSM。私たちも、いつかこんな店舗をつくりたいと強く思ったのを覚えています」

その後、51%(五割一分)のスタッフと偶然の出会いがあり、TCSが初めて51%(五割一分)に仕事を依頼したのは2019年のこと。埼玉県三郷市の店舗のリニューアルでUSMハラーを使い始めて、その後もリニューアルのたびにUSM製品を導入してきました。トヨタカローラ埼玉MC川口にあるUSMハラーは、すべてミッドグレーのパネルで統一してあります。


「お客様に心地よく過ごしてもらうため、ちょっとおしゃれで高級感のある空間を心がけております。また展示してあるクルマが引き立つように空間にグレーや木を多用しています。他の店舗のリニューアルでも、木、コンクリート、時には白いタイルなどを使ってきましたが、USMハラーがあるとどんな空間も締まります」と茂木さん。その他にも北欧デザインの家具や照明器具を取り入れ、ところどころに植物をレイアウトし、心地よい雰囲気をつくっています。愛車の点検や修理を待つ時間も苦になりません。

「クルマを見に来たお客様が『ここってディーラーなの?』と驚かれることもあります(笑)。それは我々にとっては褒め言葉。いかにも自動車ディーラーらしいショールームは全国のどこにでもありますが、他ではやっていないことをあえてやっています。そのほうがお客様との話題が広がりますし、お友達を紹介していただくことも増えました。普段から利用している店舗がバージョンアップしたことをみなさんに喜んでいただいております」


ここまでインテリアにこだわったリニューアルは、当然ながら大きな投資が必要になります。しかしそれに見合った成果が出ているのだと茂木さんは説明します。 


「最初にUSMハラーを入れた三郷市とさいたま市大宮区の店舗は、リニューアルしてから業績が向上しました。特に若いお客様には好評です」

ショールームにあるUSMハラーの多くは、自動車のカタログスタンドとして使われています。高さを3段で揃え、ユーザーが着席した時にパーティションの役目を果たすようにしました。(一番下のドア付きの棚にはストックを入れています。)


「こうしたカタログは、いずれ紙でなくなっていくかもしれません。しかしUSMハラーなら、その時は組み替えて他の用途で使うこともできます。オフィスもペーパーレス化が進んでいるので、この点でも選んでよかったと思っています」と茂木さん。このMC川口と同時期に完成したTCSの本社屋でもUSMハラーを使っているのは、機能やデザインのクオリティとともに、長く使える柔軟性がそなわっているからです。

ショールームとオフィススペースの境目にある受付カウンターも、USMハラーでつくりました。一部にクリアのガラスパネルを使ってミニカーなどを展示するとともに、下2段は奥行きを深くしています。


「お客様からはすっきりして見えると思いますが、裏側はたくさんの書類や資料を収納しており、またここにはPC等もあって個人情報を扱っているので、セキュリティも重視しています。USMなら配線も問題ありません」


こうしたカウンターは造作家具などで設えるケースも多いはずですが、USMハラーで揃えることによってインテリアに見事な調和をもたらしています。またフラットなパネルとクロームのパーツとのコンビネーションは、テクノロジーとエンジニアリングの結晶である自動車と相性がいいようです。

茂木さんはUSMの製品の魅力を、その歴史と結びついた「安心感」であると言います。 


USMハラーはボールとチューブとパネルという3つのパーツでできていて、それを60年間にわたりつくり続けてきたと聞いております。その安心感や安定感は大きいと感じますし、デザインに飽きたりもしません。トヨタのカローラも現在は12代目ですが、そこには一貫したものがあり、ずっと一緒に過ごすのにふさわしい価値をもっています。今年60周年を迎えたTCSもまた、安心感のあるブランドであり続けたいと考えています」 


新しい店舗のあり方を思い描いてから5年。現在、トヨタカローラ埼玉MC川口には、空間や業態を視察するため多くの同業者が訪れているそうです。その原点になったのは、過去のカーディーラーのイメージを脱皮しようという勇気あるチャレンジでした。 


「店舗以外にもTCS自体のリブランディングを行い、ロゴやウェブサイトも一気通貫で新しくしてきました。今、考えているのはこれから先の5年をどうするか。お客様にもっと喜んでいただきたいですし、自分たちも喜びたい。そんな気持ちを常に持ちながら、新しい挑戦をつづけていきます」

トヨタカローラ埼玉株式会社: 公式サイト


販売代理店: 51%(五割一分)


テキスト: 土田貴宏


写真: 永田忠彦 (Quarter Photography)