梓設計 本社 -「HANEDA SKY CAMPUS」
東京/大田区
オフィスという言葉のイメージをはるかに超える景色が、梓設計の本社には広がっています。約100m×65mの長方形に近い形で、5000平方mを超えるワンフロアの大空間は、まるで巨大なひとつの部屋。空港の設計を多く手掛ける梓設計らしくランウェイ(滑走路)と呼ばれる4本の太い通路が、オフィスを縦横に貫いています。設計を担当した同社の斎藤愼一さんは、「全員の顔が見える場所を目指していた」といいます。
建築模型を見せるための棚や、インテリアブランドのカタログを収めた棚は、空間にアクセントを与える鮮やかなブルーのパネルを選びました。
「事務的な収納家具とは使い方を分けています。造作家具は木目のものが多いので、それらとのコントラストも意識しました。また卓球台などのそばに置いたUSMハラーは、階段状に組み上げて、ベンチ代わりにもなります」
「クロームのフレームが特徴的なUSMハラーは、スケルトンに近いこのオフィスによく合います。パネルの色も絶好のアクセントになりました」
- アーキテクト部門 BASE01 主任 斎藤愼一
「天井が高いので既存の収納家具だけではもったいない。そこでUSMのスタッフと話し合って、この空間に最適なものを模索しました。パネルのブルーが映える、オフィスの目印のような場所になりました」
環境に合わせて構成できるUSMハラーのポテンシャルが、この空間によって引き出されています。
フリーアドレスやシェアオフィスの普及により、画一的だった日本のオフィスも大きく様変わりしてきました。ただし斎藤さんは、社員が集まる場所としてのオフィスが、あらためて重要になっているとも考えています。
「ちょっと前は、もうオフィスはいらない、どこでも仕事はできるという考え方がもてはやされました。でもあらためてオフィスに『集まる』ことの価値が再認識されていると思います。社員が自分から行きたくなるオフィス環境が、さらに求められていくでしょう」
梓設計では、オフィスの快適さや健康度をトータルに判断するアメリカ発のWELL認証の取得に取り組むなど、先進的な試みを行っています。この新しいオフィスは、そんな意識が具現化された場所なのです。
(テキスト:土田貴宏)