ザ・コンランショップ 丸の内店

千代田区/東京

今年3月に移転リニューアルしたザ・コンランショップ 丸の内店。そこで特に目を引くのはファッションブランド「Graphpaper」のスペースです。ザ・コンランショップがアパレルコーナーを常設するのは国内初であり、そのディスプレイにはUSMハラーが採用されました。ザ・コンランショップCEOの中原慎一郎と、Graphpaperのクリエイティブディレクターの南貴之が、このコーナーが生まれた経緯を語ります。

中原慎一郎がザ・コンランショップのCEOに就任したのは2022年。約20年間にわたりインテリアやプロダクトに関する多様なプロジェクトに携わった中原さんが、グローバルなインテリアショップの要職を務めるというニュースに多くの人が驚きました。今年3月に移転リニューアルした丸の内店は、中原さんのエッセンスが随所に表れています。そのひとつが、「Graphpaper」とコラボレーションしたアパレルアイテムのコーナーです。Graphpaperのクリエイティブディレクターの南貴之さんは、中原さんと以前から交流がありました。


「新丸ビルの新店舗の構成は、僕が入社する前からロンドンのチームが進めていましたが、それに対して提案をしたことのひとつがアパレルでした。創業者のテレンス・コンランの哲学は『プレーン、シンプル、ユースフル』で、それはGraphpaperにも当てはまる。服の上質さも丸の内にふさわしいと思い、南くんに相談しました」(中原)

中原さんと南さんは10年ほど前からの知り合いでした。ザ・コンランショップのCEOが中原さんになることを聞いた南さんは、何かできることがあったら協力したいとすぐに連絡をしていたそうです。


「でもまさか服を扱ってもらえるとは思っていませんでした。ただ、Graphpaperにはシーズンごとのコレクションと定番のふたつがあり、定番は同じ形のものを少しずつアップデートしていくので、インテリアとは相性がいいと感じていました」(南)


丸の内店が扱っているのは、そんな定番のラインや、ブランドのスタート時からつくり続けているユニフォーム風のアイテムを中心に、ザ・コンランショップがセレクトしたもの。オープン直後から反響があり、好調が続いているそうです。

アパレルのコーナーでは、一連のアイテムはUSMハラーのユニットにディスプレイされています。その提案をしたのは中原さんでした。


「ここで扱う服の背景としていちばんふさわしいのがこの家具だと思いました。USMが定番をずっとつくっているのはGraphpaperとの共通点です。また南くんはディーター・ラムスやミース・ファン・デル・ローエといったドイツのデザインが好きで、その空気感を服によって現代的に表現しています。その感覚もやはりUSMハラーによく合います」(中原)


「僕らの服と店内のインテリアに親和性をもたせたいと最初から考えていたから、とてもいいアイデアだと思いました。自宅でも使っているのでその魅力は実感しています。でも今回のためにUSMのショールームに行って、同じように見えるUSMハラーがいつの間にかすごい進化をしていることにびっくりしました」(南)

丸の内店のUSMハラーは、南さんが中心になって組み合わせを決めていきました。パネルの色はミッドグレーで統一。パンチング仕様のパネルを多用しているのも新鮮です。さらに南さんがショールームで見て驚いたという、照明機能をそなえたUSMハラーEも取り入れています。


「パネルは黒だと重たいし、白だと普通すぎる。ネイビーはインテリアに入れるのがなかなか難しい。グレーはここで扱う服の色に近く、空間を邪魔しないので選びました。また自分で使っているUSMハラーもパンチングメタルがあって格好いいと思っていました。インテリアショップでは見かけない印象があったので選んでいます。棚の下のほうは暗くなりがちですが、照明つきのハラーEとガラスのパネルを組み合わせて明るくできた。こんなことまでできるんだと目から鱗でした」(南)

ザ・コンランショップでは以前からUSMハラーを取り扱ってきましたが、このGraphpaperのコーナーができたことで製品の見え方が変わるかもしれないと中原さんは言います。


「服をディスプレイした状態を見ると、こんなふうに使ってみたいという気持ちになる。今まではそういう見せ方ができていなかったと思います。同じ考え方で書籍のコーナーをつくったり、この世界観を他のジャンルにも広げて行けたらおもしろい」(中原)


洋服と一緒にヴィンテージの照明や器なども置かれていて、それらは南さんが以前から愛好してきたもの。今までのザ・コンランショップとは違うテイストを、そんなスタイリングからも感じることができます。

中原さんは、仕事の中で何度となくUSMハラーに接してきたといいます。また南さんも、ファッションを超えて幅広いデザインを扱う中でUSMハラーを使ってきました。それぞれ活躍するジャンルは違いますが、ふたりの感性に共通するところが多いのは確か。ザ・コンランショップ 丸の内店のGraphpaperのコーナーは、そんな新しい感性のクロスオーバーも見どころなのです。

ザ・コンランショップ 丸の内店


テキスト: 土田貴宏


写真: 永田忠彦 (Quarter Photography)