クリエイターの趣味のアトリエ
東京/杉並区
イギリスで建築を学び、デザインの幅広い領域に携わる寺田尚樹。自身の趣味のために設えたコンパクトな空間のもうひとつの主役は、USMハラーEでした。
寺田尚樹は、建築やデザインを手がける自身の設計事務所を主宰しながら、オフィス設計のインターオフィスの代表も務める多忙なクリエイターです。そんな彼が、長年の趣味であるプラモデルに浸れる書斎として、自宅のそばに手頃な広さの部屋を借りました。
「プラモデルは小学生の頃からつくってきました。この部屋ができてからは、平日の夜の仕事の後や休日の朝に来て、2時間くらい集中してつくることが多いですね。ひとりで細かい作業をするのが、僕にとってのストレス発散でありメディテーション。また自分で所有している本はだいたいここにあるので、原稿を書く仕事をすることもあります」
寺田さんがつくるプラモデルの多くは、歴史上の飛行機や船などです。飛行機は空を飛ぶための合理的な姿に、船は多くの人々が住む場所としての機能的な設計に、モダンデザインや建築との共通性を見出していると言います。完成した大小さまざまのプラモデルのディスプレイ用に揃えたのは、照明機能をそなえたUSMハラーE。チューブ部分に内蔵されたLED照明が、シェルフの内部を明るく照らします。
「ケースのクオリティが高いと、プラモデルもよく見えますね。特にこの空間では、USMハラーE全体が光るように見えるだろうと考えたんです。夜は照明をつけず、この光だけで過ごすこともあります。光の色もウォームホワイトとコールドホワイトから選べるので、模型がシャープに見えるコールドホワイトにしました。部屋の照明も、この光の色に合わせています」
寺田さんが初めてUSMハラーを使ったのは、独立して設計の仕事を始めた約20年前。事務所の本棚として壁一面に設えたそうです。その後もパーツを足して組換えながら、自宅や事務所で使ってきました。この部屋の本棚でも、当時からのパーツを使っています。
「当時の僕には高価でしたが、いつか欲しい家具だったので、思い切って手に入れました。すべてが理に適っている完成されたデザインだと思います。定番にしているのは、幅750ミリ、奥行き350ミリ、縦350ミリのユニット。A4ファイルがちょうど収まり、経済的にも効率のいいサイズです」
この部屋では、大型の模型のディスプレイと、大量の資料などを収めた本棚に、幅750ミリ×奥行き350ミリ×縦350ミリのタイプを使用。また小さな模型のための棚は幅500ミリにして、空間に変化をつけています。
長年、USMハラーを使い続けてきた寺田さんが、照明システムやUSB充電機能をそなえたUSMハラーEに出会ったのは、この製品が発表された2017年のミラノサローネでのこと。その場で完成度の高さに魅了されたと言います。国内展開が始まる前からUSMにコンタクトを取り、日本で初めてこの製品を導入することになりました。
「USMハラーはあまりに完璧なので、簡単にアレンジできるデザインではありません。しかしUSMハラーEは、コードなどを使わずチューブ自体に通電して、本来の完成度を損わずスマートに新しい機能をプラスしています。大変な時間と手間をかけて実現したのでしょう。歴史に残るに違いないと思います」
建築家、インターオフィス代表 - 寺田尚樹
寺田さんの言葉からは、彼が長い時間軸の中でデザインや空間を捉えていることが伝わります。その考え方は、USMの思想と通底するものです。
「ダイニングチェアを買って、数年後に買い足したいと思った時、もう同じものが手に入らないことがあります。でもUSMは、何十年間も同じ仕様のものをつくり続けてきたし、これからもそうでしょう。USMハラーのフレームが黒のマット仕上げなら、今はカッコよくてもいずれ飽きられてしまうかもしれません。クオリティの高いクローム仕上げは最もタイムレス。そこにUSMのよさがあると思います」
(内装設計:寺田尚樹、販売代理店:インターオフィス、テキスト:土田貴宏)